寒いね。
今夜は冷たい雨がふっているね。
ねぇ、ユウタ。
さみしくて、泣いてない?
お腹はすいてない?
頭が痛くて、つらくない?
今日はバイバイの時に泣かなかったね。
えらかったよ。強かったよ。
ユウタはもうお兄ちゃんになったんだね。
最後の入院から…そうだね、三年も経ったんだもんね。
体も大きくなったけど、心も成長しているんだね。
そんなユウタのカッコいいところ、ママは気づかなかったよ。
10月18日から約二週間の予定でユウタが掛かりつけのこども病院に入院しました。
もう何年も続いている頭痛の原因を探る為の検査入院です。
最初の二泊は母子入院でした。
ユウタのベッドの横に小さくて硬い簡易ベッドを置き、私はそこに寝ました。
うんと腕を伸ばしあい、いつものように手を握りしめて二人で寝ました。
家族と離れている淋しさや不安な気持ちは、お互いの暖かい手の温もりで拭い去れていました。
きっと。
入院初期はまず様々な検査をする計画です。
何か治療をしている訳では無いので相変わらずユウタの頭痛はひどく、夜中に何度か私に助けを求めてきましたが、結局、病院にいてもなす術なく、ただひたすら頭痛の波が落ち着くのを待つしか出来ません。
病棟の端っこにある、小さな個室。
節電の癖がついている私達は、昼間は常に部屋の電気を消して、外からの日差しの明るさで過ごしていました。
二人だったからね。
ユウタのベッドでぎゅうぎゅうになって、くっついてお昼寝したりゲームをしたり。
さみしくなんて、なかったね。
今回、私は二晩だけ付き添い、三日目の夜に私は自宅へ戻りました。
四歳で脳腫瘍を発覚し、それから短期や長期を含めて数えたら今回は七回目の入院です。
考えてみたら、何度も付き添いなどせず、ユウタは幼い時から一人で入院してきました。
辛いね。
頭の傷さえ髪で隠れていたら、身体は思いきり肥満体ではあるけど、元気な小学生そのままに見えるのに。
痛いとか、苦しいとか、怠いとか。
辛いとか、さみしいとか、もう頑張れないとか。
たくさん抱えて。
さぁ、あなたには明るい未来が待っているから。
だから頑張ろう。
そんな言葉がインチキ臭くて、私は大嫌いなんだよ。
だけど諦められない。
子どもの事はどうしたってね。
ねぇ、ユウタ。
さみしくて泣いてない?

頭、痛くない?
ママはね、本当はさみしいよ。
涙がとまらなくて、かっこ悪いお母さんだね。