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訪問看護 Body & Soul

「えっさこらさ」と、認定看護師修行の中間報告

 

訪問看護認定看護師課程の受講が始まってから早半年が過ぎた。

入学試験に目出たく?合格して、4月から修行の毎日が始まり、今日に至っている。よくぞ耐えてこられたものだ。この半年は厳しい認定修行とともに、プライベートでも家族が入院を繰り返すなど様々な試練の毎日だった。月曜日から木曜日までは普通に仕事に通い、金曜日と土曜日は90分の講義を5コマ受ける。朝の9時20分から夕方の6時20分までみっちりと座学である。もう、お尻に褥瘡(編注:じょくそう。いわゆる床ずれ)。そして襲いかかる睡魔との戦い。でも苦労はそれだけではない。

認定修行の何が厳しいかというと、「科目試験」と「課題レポート」である。それらは各科目の講義を受けた後に容赦なくやってくる。まるで秋の台風のように絶え間なくやってきて受講生に豪雨を降り注ぐ。私たちはひたすら豪雨に打たれて修行をする。仕事、家事、育児が終わった深夜に眠気と戦いながら夜な夜な机に向かうのだ。記憶力の減退した40代の頭脳を「これでもか、これでもか!」と酷使し、暗記をする。そして試行錯誤を繰り返して文章を綴っていく。一週間に最高8本くらいのレポート課題が出されたこともある。にこれをこなしてすべての科目で「合格」を勝ち取っていかなければ、最終試験を受ける資格が得られないのだ。

また、講師の先生方も受講生に「評価」というものを与えなければならないから、大変である。先生方も苦心して試験を作成し、受講生によって書かれた山のようなレポートを読みこなして、ABCD(Aが一番優秀)で評価とコメントをつけなければならない。なんとお互いに大変な苦労であることか。

ところで、「訪問看護認定看護師」が何であるかの説明が必要だと思う。

たくさんの分野の認定看護師なるものがあるのだが、「訪問看護」の認定看護師について軽く説明をしておく。訪問看護認定看護師の主な役割としては、地域の方々と密着し、住民の方々が発病・発症・障害を抱えていても、 QOLが低下しないように生活水準を維持することを目指し、在宅ケアの質の向上及び推進を図るスペシャリストである。

訪問看護が取り扱う疾患は幅広く、よって私たちは「ゼネラリストのスペシャリスト」(意味わかりますか?)という他の分野とは少し違ったスペシャリストとなることが要求されている。他の認定看護師の分野では、「心不全」とか「認知症」など専門医療分野に特化した知識と技術が要求される。しかし、訪問看護は在宅におけるすべての療養者が対象なので、疾患、年齢、性別など、すべてに対応可能なワイドな知識と技術が要求される。要するに要領の良い「なんでも屋さん」であることが必要なのだ。

ちなみに、認定看護師の役割は次のように挙げられている。

必要な教育課程を修了し、ある特定の分野において、熟練した技術と知識を有することを認められた者をいい、次の各項の役割を果たす。

  1. 特定の分野において、個人・家族または集団に対して、熟練した技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
  2. 特定の分野において、実践を通して他の職者に対し指導を行う。(指導)
  3. 特定の分野において、職者に対しコンサルテーションを行う。(相談)

そして、試験を受けるための受験資格は以下である。

  1. 日本国の(保健・助産・看護)師のいずれかの免許を有すること。
  2. 認定看護師として必要な実務経験があること。(保健・助産・看護)師の資格取得後、実務経験が通算5年以上であること。 そのうち通算3年以上は特定の分野の経験を有すること。
  3. 日本看護協会が認定した教育課程を修了していること。 または、外国において上記と同等と認められる教育を修了していること。

(日本看護協会より一部引用)

さて、9月一杯で講義は終了し、10月からは毎日実習がはじまった。同じ労苦をともにする仲間達とともに終了までもうひと頑張りである。仲間の平均年齢は46歳。訪問看護のクラスは小所帯で14名である。少人数だからこそ結束も硬くなる。みんなベテラン訪問看護師で半分ぐらいは訪問看護ステーションの所長や管理者だ。

この仲間がまた、キャラが濃いくて楽しい。みんな同じような現場で百戦錬磨を踏んでいるから、話をしていてもお互いのことをすぐわかり合えるのがありがたい。もちろん休み時間は女子トーク(?)全開だ。大阪のオバチャン炸裂で、講師に質問でタメ口たたいて教員に叱られたり、バーゲンや安価なグッズの話でやたら盛り上がったりしている。そして、三重県や広島県からもこの神戸に週末一泊で受講にきている仲間は「モミジまんじゅう」や「赤福餅」を御土産に買ってきてくれる。気楽そうに笑い合っているが、みんな看護師であるとともに、主婦であり、ほとんどは子育て(夫育て?兼)中で、厳しい環境の中、自ら学びを深め、訪問看護を極めるべき集まった強豪集団である。

さて、愉快な仲間達と一緒にもう一踏ん張り、頑張っていこう。残る半年で私はどこまで行けるだろうか。ふりそそぐ豪雨の嵐の中を暗中模索しながらえっさこらさ、それ行けススメである。

 

ふっと立ち止まって考えてみる。自分はこの教育課程に来て成長したんだろうか?これからの実践に活かせるべく勉強を深めていけているのだろうか?いやいや、わからない。でも、支えてくれる仲間や導いてくれる教員の先生方がいるからきっと、前進していると信じている。まだ答えはこれからだ。ずっと遠くまで進んでからたどってきた道程を振り返ってみた時に、「わあ、私こんなところまできたー、すごーい」って言えるように頑張ります。

誰のために?何のために?人と自分と神様を愛する人生を送っていきたいから。青空と人生とあなたのために原田は今日もこの道を極めていきます。

 

 

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原田三奈子

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