ごあいさつ 『わたし』のはなし 『フクシ』のはなし 見えない障害バッジ みんなのひろば 編集室

困ってるズ!

Kさんの巻

 
こんにちは、困ってるズ!です。
今回お届けするのは、
横浜市Kさん・現在自宅闘病中さんの「困ってること」です
 
 
 
【私はこんな、困ってるズ!】

もうすぐ52歳のSLEの患者。

7年前から体調はすぐれなかった。が、放置。5年前に母に無理やり病院に連行されすぐさま入院、そして診断名が下った。

「SLE」を簡単に説明すると、体内に入った異物からの攻撃に対抗する免疫が、なにを間違えたのか、自分本人に対して攻撃してしまう自己免疫疾患の一種。症状には個人差があるが、共通するのは、発熱・倦怠感・こわばり・関節痛・筋肉痛など。そして、特に寒さに対して敏感になる。

【私はこんな風に、困ってるズ!】

もともとは、元気だけが取り柄の女の子(懐かしい時代だな~)。いまでは、指先は手も脚も血のめぐりが悪いのか、動きが悪く、歩くのも非常によたよた。

娘曰く見た目「変な人」

常にだるい。

父曰く「お前がこんなカタワになっちまうとは」

ほーんと信じられないのよね。こんなことが自分の身に降りかかるなんて。

風呂や寝る前、寝起きは、自己リハでなんとか体を動かせるようにしている。もともとスポーツ三昧の生活を送っていたので、ストレッチの方法は知っている。でも体に負荷をかけるわけだから、ストレッチも痛い。

冬場は最悪。布団から出られない。湯たんぽがないと生きていけない。冷蔵庫から出したての食べ物は、体を冷やすので食べられない。食べられるのは温かい物だけ。母から「こっちにおいで」と誘われても、母の住む場所は、冬場、マイナス20度以下になるので、行くのは賢明でない。

水は冷た過ぎて手指が紫になる。寒さ対策に、ブーツの下に靴下を履くから、サイズを3つくらいアップさせた。防寒用の編み上げブーツは脱着に20分以上かかるため、外出が面倒。どんなに厚底の靴を履いても足裏の痛みは変わらない。小さい石、点字ブロックを踏むと泣きたくなるほどの痛みが走る。

缶や瓶の蓋、プッチンプリンを開けるのにも四苦八苦。手指がしびれでいつも震えているからスマフォで写真を撮るのも、メールを書くのも時間がかかる。慢性の手ぶれ状態(グハハハ……)。

今年の夏、一番困ったのは、足の甲がむくんでいるからかな?
身体のバランスが悪かったこと。家の中でもふらつくことが多かった。特に前加重ができない。しゃがむと後ろ転びになる。椅子や梯子に乗り移るときは、呼吸を整えて「せーの」の掛け声とともに。失敗すると椅子を前に蹴り倒し、背中を痛いほど打ち付ける。前に転んで胸を打ちつけることもある。体の痣がたえない。

もう一つ抱えている深刻な問題。排泄の自己コントロールができないこと。「あっ」と思ったときには出ちゃう。外から遠ざかっちゃった理由の一つ。というわけで生活保護を検討中。これじゃ外で働けないからね。いまは自分が出来ることを模索中。

「へこたれたくな~い」という日と、「死んで無くなってしまいたい、消えてしまいたい」と心折れている日の共存。でもな~家族を自殺で失うなんて残された者には耐えられないだろうに。特に一人娘。生きていてやることが唯一の出来ること。

娘は、高校時代には生活費のために、バイトに明け暮れ、家に帰れば私の出来ない家事を全てしてくれた。クラブ活動なんてありえない。それでも勉強も同時に頑張ってくれた。で突然、娘の意思を無視し、私が自立した生活を目指して、一人暮らしを決めた。娘には悪いことをした。

■引っ越しにまつわる困ったこと

急遽決まった引っ越しだから、大慌てでいろいろ手配した。ヘルパーさんに「重いものを運んだりしてくれる、引っ越し関連のサービスはありませんか」と尋ねたけれど、「役所でもシルバー人材派遣でもやってない」と言われてしまった。幸い、30代の介護施設勤務の若者がきてくれて、本当に助かった。サンキュー(涙)

この機にいったん、人生をゆっくり整理しようと思っている。持ち物の整理をしてみたら、ほとんどがゴミだったことに気が付いて愕然とした。自分に必要なもの、不要なものが本当によくわかった。結婚祝いにもらったどこそこのボーンチャイナなんて気持ちよく手放せた。

食卓テーブルがなかったので、安っぽい居酒屋みたいに、ビールケースを組み立ててテーブルにしようとした。上に載せる木材が必要なので、ヘルパーさんにホームセンターで買ってきてもらおうとしたら、やってもらえなかった。しょうがないので、通販で最も安いだろう食卓を購入。ヘルパーさんに組み立てを頼んだけれど、やっぱりこれもやってもらえなかった。

自分で組み立てるものの、テーブルの脚を自分の甲に思い切り打ち付けるなど、アクシデントばかり。なんとか組み立てた食卓も、六角レンチの締めがあまくて、ぐらぐらする。力が、まったく、はいりません。

■ヘルパーさんの仕事って?

最初、ヘルパーさんのお仕事は、家事援助だけだった。いまは身体介護も追加されたけれど、どこかに連れて行ってくれるとか、入院したときに家から荷物を取って来て貰うとか、そういうことは全くお願いできないそうだ。結局いま必要なことや、して欲しいことは何一つしてもらえない。

ある日、汗どばどばでお布団を大型コインランドリーに運んだ。大変な作業のほとんどが業務外ってことが私にもだんだんわかってきたぞ。そもそもヘルパーさんって、お仕事の内容がイマイチ良く分からない。

私が生活や、生きる上でこだわりたいことについても、ほとんどやって貰えない。なぜなら生きるために必要最低限なことではなく、私の単なるこだわりだから。でも私にとっては、自分らしく生きるのに必要な部分なんだな。なんで障害があると、好きな模様に部屋をカスタマイズすることも許されないのかな~。

わくわくしながら始まった初めての一人暮らしも七カ月が経った。「なんでもいつでも頼んで」と言ってくれたヘルパーの男の子は、いまでは「ここまで引っ張るとは……安請け負いをした自分のせいだけど……」と引き気味。相手をうんざりさせているのは承知。でも私も引くに引けないので、いまでもお願いしている。来てくれる回数は減ったけど、大変感謝している。だからといって「ごめんね、ごめんね」と謝ってばかりの、卑屈な自分にだけはなりたくないのです。

【こうなったら、助かるズ!】

男のヘルパーさんいないかな。棚の上の荷物をひょいと取り上げてくれる人、重い物軽々と持ってくれる人、車で買い物連れていってくれる人、家具を組み立ててくれる人、配線に詳しい人、そして出来れば背の高いイケ面……(うふ)。

男ヘルパー

ハード面で見れば、確かにバリアフリーは浸透してきた。でも古い役所のトイレはまだまだ和式中心。古い駅もエレベーターやエスカレーターの設置はまだまだ。東京でこうでは、地方はもっと大変なのではと予測。

表に出るのは非常に億劫だけど、老若男女・元気な人もそうでない人も、気持ちよく共存できる街づくりを目指せるよう、私も文句ばかり言うのではなくて、もっと声を掛け合い、歩み寄りながら、上手に生きていきたいと思ってる。

(了)
 
 

メルマガ登録
投稿はこちらから
 
 
 


イラスト: こっぺぱん
大阪在住の大学1年生。
高校1年生の夏、突発性難聴とメニエール病の当事者に。
ぴっかぴかの1年生、これからは福祉の勉強をするそうです。

 

カテゴリー: 困ってるズ!   パーマリンク

>> お問い合わせはこちら copyright (C) 2011 わたしのフクシ。編集部