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Café du dacco

おはなしその5.5

 
 
みなさまこんばんわ。

医療費負担制度、10月29日付の原稿で収入区分を4段階だった一番最初の案から思うことを書きましたが、大野更紗さんと心ある有識者の方々の寝る間も惜しんでの頑張りで、第一段階の四段階から一歩進んだ修正案として区分を6区分とする新案が上がりました。

でもこれでもまだまだ難病患者の生活の実態に即していないということ、「原則2割負担」の論拠はそもそも高齢医療の自己負担額の割合から引っ張ってきたそうですが、たとえば、

「インフルエンザになったから医者に行く」とか

「骨折をしたから一時的に入院をする」など、

治る見込みのある一時的な通院や入院の医療費と、1年365日人工呼吸器及び胃瘻が必要な人、人工透析等の頻度の極めて高い通院が一年中、一生涯必要な人との医療費の自己負担が、ごちゃ混ぜに同一視されては、息をするために、食事を取る為に、一日も欠かすことなく、一生涯医療機器や、点滴での投薬がなければ生きていけない難病当事者は、家計苦で死んでしまいます。

また、生活保護世帯は現行案、新案とも0円となっていますが、たとえば、年収数十万~80万円の人。

生活保護世帯とすぐ次の低所得層の家計格差はごく微差であり、どちらもが貧困世帯です。
 
 
なのに、国策としての社会福祉や生活保障の削減の連続に、

「あなたは生活保護なんだからいいよねぇっ?」

「ワーキングプアでも手足が動いて動けるんだからまだいいじゃないっ?!」

と、難病当事者同士、困窮世帯同士が、家計格差を障壁にしていがみ合い・・・。
本来、どちらもに公的支援が必要で、手を繋いで、命の切り捨てへの反対を声に出すべき困窮の当事者同士が、ますます生存が危ぶまれる状況の中で、心にも希望を失くし、目が下を向き、分断されてしまうのです。

また、難病医療を使う当事者の多くが、平行して介助ヘルパーさんやレスパイトサービスなどによる介助も平行しており、これもまた定められた月々の自己負担があります。

難病によっては、一人の子ではなく、兄弟姉妹も同じ難病を持つ確率が高いものもあります。

しかしそれでも、適切な医療や介護さえあれば、私達は学校へ行き、できる仕事をし、友人を持ち、芸術や音楽や文章表現等、文化とも関わりながら、可能な限りに、自分のできる形で社会参加をすることができます。

難病を持つ当事者が、生きて、社会参加する中で、私達は決して「難病によって不幸な時間だけを生きて死ぬ人間ではない」と証明する過程には、沢山の、命を支えてくれる健常者の手があります。

その中に在り、自分だけが、お金がないから医療を止めて死んでいいと望む人間がいるでしょうか。

難病当事者の悲しみは、ひとつは確かに難病それ自体の症状や進行です。

ですが、それよりも更に大きなもう一つは、この日本の国の、難病政策委員会にも、厚生労働省にも、難病当事者の存在そのもの、また生活の困難さや家計負担の実態、またそれをどう頑張って、理解ある在宅医療や難病専門医療や生活介護の現場、地方行政がみんなで変えようとしてきたか・・・その歴史も、日々の思いも、本当には知られていなく、生で目を見て、お互いが顔を合わせての丁寧な聞き取りをされたこともなく、『生の声』としてまるで届いていないのではないかということです。

これ以上、人間の『命綱』である、医療、介護、生活保護の公的保障の削減によって、こどもも、おとなも、命を落とすことが絶対に無いように。

家計苦による親子心中や、自殺を選ぶ当事者を出さないように。

「うちは、お金が払えないから、ごめんね」

と、お父さんとお母さんの手で、子供の人工呼吸器を止めさせることを、この国は望んでいますか。

公費での医療費や介護費がかかる、例えば私が、死ねば、この国は、「嬉しい、ああ助かった」ですか。

この新医療費負担案は、その答えになる大切なものです。

色々と掘り下げたいことがありますが、補足でした。以下が6区分の場合の案。
 
 
● 新医療費自己負担案、6区分一覧

1)特定疾患を持つ大人
(世帯年収/月額の自己負担額)

生活保護世帯 0円
市民村税非課税世帯~80万円 3000円
市民村税非課税世帯80万円~160万円 6000円
160万円~370万円 1万2000円
370万円~570万円 2万4600円
570万円~ 4万4400円
   

 

2)特定疾患を持つ子供
(夫婦二人に子供一人の場合の世帯年収/月額の自己負担額)

生活保護世帯 0円
市民村税非課税世帯~80万円 1500円
80万円~200万円 3000円
200万円~430万円 6000円
430万円~630万円 1万2300円
630万円以上 2万2200円
   

 

また、つれづれに書いていきます。

お読みくださった皆様、ありがとうございます。

 

朝霧 裕

2013.11.1

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