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あたらしい風

こころ育てて

 
「発達障害」 ~ 広汎性発達障害児の母として ~
(2008年1学期号より)

自閉症の研究が進む中で明らかになってきた障害の新たな概念が「発達障害」です。

自閉症は後天的な精神障害でも人格障害でもなく、躾や愛情の問題でなるものでなく、環境や育て方によって成長してから突然自閉症になるということもありません。
家の中や自分の殻に閉じこもるという状態や性格を表すものでもありません。
生まれつきの脳の機能的な発達の障害でそのメカニズムはまだ解明されておらず、治るものではありません。

平成十七年度から施行された発達障害者支援法では、従前の法律・施策の対象外であった部分を「発達障害」と定義することにより、支援の対象となりました。
発達障害や自閉症グループの障害は実は割合多く発生しているにも関わらず、社会での認知度はまだあまり高くありません。

発達障害の状態像は多様です。
また同じ診断名でも、子どもの個性や発達の状況や年齢、置かれた環境や個々の人柄により、目に見える症状や「困ること」「こだわり」の表現は違います。

特に、自閉症を中核とする自閉症スペクトラムとも呼ばれる広汎性発達障害等の場合、その半数程は知的障害をもちません。
そのこだわりの出方が一見に「わがまま」「親のしつけが悪い」と見られ兼ねません。
それらが今まで一般的にとらえられていた障害というイメージとは一見異なるように見えます。

発達障害者支援法における「発達障害」の代表的なものは以下のものです。
 

高機能自閉症・アスペルガー症候群

IQ70以上の自閉症児をさしていることが多く、アスペルガー症候群との厳密な区別はないとされています。
ただし、アスペルガー症候群の場合は、3歳までの言葉の発達は正常とされていますので、周囲にも本人にも気づかれないケースが多くあります。
自閉症の場合には、言葉の獲得が通常よりも遅くなるため、ことばの遅れを指摘され専門医を受診するケースが多いようです。
“高機能”とは知的能力を指すことばで、社会的な能力を示すものではありません。

知的障害等

話す力やことばの理解、形を認識する力や状況を理解する力などの知的な能力が年齢に比して全般的に低いレベルにあり、社会生活をしていく上で理解と支援が必要な状態。
知的能力を心理発達テストで評価し、

IQ<35は重度精神遅滞
IQ35~50は中度精神遅滞
IQ50~70は軽度精神遅滞
IQ70~85は境界領域知能

とされ、明らかな知的障害とはいえず、環境を選べば自立して社会生活ができると考えられるが状況によって理解と支援が必要なレベル、とされています。

学習障害

基本的には全般的な知的発達に遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものとされています。

原因とて、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されます。

注意欠陥多動症

注意の持続の困難・多動性・衝動性、3つの領域の組み合わせの障害で、6割にLD(学習障害)を合併するという報告もあります。

 
日本では正確に把握されていませんが、自閉症の人は36万人いると言われています。

アスペルガー症候群も含め、自閉症スペクトル全体ではもっと多くなり、男の子の方が女の子より多く、割合では4対1と言われています。知的障害を持たない学習障害やアスペルガー症候群は幼少の頃ではわかり難いものです。
 
 
『子どもの様子がなんとなくおかしいように感じたとき、どこへ相談したらよいのでしょうか』

そんな時は地域の保健所や児童福祉課、児童相談所などが相談窓口となります。
市区町村の役所に問い合わせをすれば、窓口や発達相談の日程などを教えてもらうことができ、相談や診察の為の費用はかかりません。

でもその前にまず、学校の担任の先生に相談し、学校と家庭での連携で子どもを見つめ直す事から始めるのをおすすめします。
どんな些細なことでも堺市立K小学校の先生方は、

一人一人の子どもの成長を親身に受け止めていく体制がある!

と、この記事を書く際お話を伺った校長先生もおっしゃっていました。
 
 
最後に広汎性発達障害児の母として・・・

すべての子どもたちはいろんな可能性と個性を持って生まれてきます。発達障害というのは、そうした生まれながらの可能性や個性のあり方の1つだと考えています。

しかし、一見分かり難い彼らの「困ることの訴え」は、発達障害を知らない人には不快なものも多く、問題となるリスクを減らしていくには、早期からの専門的な療育や発達支援や周りの正しい理解が必要です。

「発達障害」を知ってもらうにこのページだけではスペースが狭く言葉も足らず、補足等も出来ず説明したに過ぎず、すべてを伝えることは出来ませんでした。

彼らやその親への理解が何よりの支援となり励みにもなります。

私達夫婦に授かった子どもは四歳の時に「広汎性発達障害」と診断されました。

いろんな壁を乗り越え、他の親とは全く違う不安を持ち、入学して2学期も終わる今、先生方の手厚い指導により勉強も頑張って、支援学級・クラスを中心に温かくやさしい友達に囲まれ、毎日学校が楽しくて仕方がない様です。

そんな笑顔から私達も幸せを貰っています。

みなさん、ありがとう。
 
 

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