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あたらしい風

祖父母との関係 その1 「祖父母への告知」

 
祖父母との関係 その1 「祖父母への告知」
(106号《2012年1月25日発行》より)

風の会に寄せられた質問・疑問にスタッフが情報を集めたり調べたりした事を、いろんなテーマにして取りあげようとはじめました。今回は、「実家(旦那)の両親にどう話す?」です。

我が子に障がいがあるとわかった時、どう理解してもらうか。また、年末・年始、それぞれの実家に帰省する事が多いですよね。おせちにお雑煮と、いつもとは違う食事。親戚一同が集まる場・・・いつもとは環境が違う場に対応しきれない我が子についてどう話すか。

「祖父母への告知」「帰省」についての体験談を掲載したいと思います。
 
 

祖父母への告知

うちの子が療育手帳の判定を受けたのは小学6年の時で、軽度でした。
近くに住んでいる母方の祖母は孫の障害が理解できなくて、中学生になった孫がゲームに夢中になっている姿を見かけるたびに、「中学生になったのだからゲームばかりしてないでもっと勉強しなさい!」と、声をかけてきました。

中学生になってしばらくは、各授業の先生や通常学級のクラスメートに名前や顔を覚えてもらうためにと通常学級で頑張っていたのですが、勉強が難しく理解できないことのストレスなどをTVゲームやパソコンゲームで発散させていました。
そんな状態のところへ「ゲームやめて勉強しなさい!」の祖母の度重なる攻撃(?)。
たまに、どう答えたらいいのかわからん母の質問(学校はどう?)。

ついに物に当たって投げるわ、ひっくり返すわ、寄るな!さわるな!見るな!の反抗的な態度。
これって思春期!?・・・
祖母には療育手帳の判定結果を詳しくわかりやすく説明し実際に勉強している内容を見せました。小学校中学年くらいの内容に祖母はショックを受けていましたが、それからは勉強のことは言わなくなりました。
 
 
親の私が我が子の異常に気付き始めたのは、1歳半になっても一言も話さない事と、他人と目を合わさない事でした。
でも両祖父母はそれを不思議と思わず「男の子は口が遅いから心配ない」と思っていました。

私は障害児教育の専門家でしたので、子どもの障害もほぼわかっていましたから、診断を受ける前から主人と両祖父母には「自閉症とは・・」と、説明していました。
母は勉強家なので「いろんな経験をさせるといい」という事から惜しみなくいろんな経験をさせようと小さな時から孫を西へ東へと連れて回っていろんな経験をさせてくれました。

「たった一人の孫が障害持ってるって・・・どう思った?」と聞いてみましたが「そう言われても仕方ないやん」
こう考える人もまた珍しいかもしれない。

父の方はなかなか認められなかった様でしたが、そんな母を見て徐々に受容されてしまった(?)様でした。
娘が長く障害児教育に携わり、その仕事を辞めてやっと授かった子どもが自閉症児だなんて・・・と思った様ですが、今では誰よりも孫の成長に敏感なじーちゃんになっています。
 
 
そして主人や主人の両親は、障害が認められたときは私の前では泣けなかったこと、後で知らされました。

お姑さんは「泣いても泣いても泣き足らんかった。何でうちの孫が・・・って、神様やご先祖を恨んだ。でも、懸命に療育してるあんたらを見てようやく受容が出来た。いや、しなアカンと思った。だから私達はどうしたらえんやろ?」と、話してくれた事がありました。
自閉症児である孫に対して、心の奥の“まだ信じられない信じたくない気持ち”でありながらの葛藤が今でもある。と、この記事のインタビューをした時に打ち明けてくれました。

そんな孫がいろんな困り事を克服していくたびに泣いていたお姑さんは今、すっかりわたしの影響を受け「障害を持っていようがなかろうが、子どもは子ども、孫は孫、アカンことはアカンこと!そしてみんな助け合う事が大事!」という信念で、お姑さんの周りの障害を持った子どもやその親に対し接している様です。

でも、必ずこう付け加えます。

「その人になってみやなわからんねん。障害を持った孫が出来てわかった事がいっぱいある。当事者じゃないとわからん事がいっぱいある。そうでない人にはなんぼ言うてもわかってもらわれへん事もある。でも、言わなもっとわかってもらわれへんねん。だから私は孫の障害の事をみんなにいっぱいしゃべってるねん。あんなん出来る様になった、こんなん出来る様になったって。そしたらみんな『よかったな~』っていうてくれるねん。周りにわかってもらう為には、私自身がわからなアカンねん」

・・・きっと、自分に言い聞かせて言い聞かせて、辛い思いしてはったんやな・・・と、今回は私も両祖父母の胸の内を聞けてよかったと思いました。
 
 
その2 「帰省」に続く
 
 

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