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あたらしい風

ADHDと思春期の課題・・・まとめ

 
今回は、「あたらしい風の会」さんの会報で紹介されている、二人の発達障害児を育てるシングルファーザー・鏡太郎さんのブログ記事(くらくらぱさーる~発達障害児二人とおっさん一人の日々爆裂浪漫日記)をご紹介します。

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発達障害の事ならおっさんにまかせい!~「ADHDと思春期の課題・・・まとめ」
107号(2012年2月22日発行)より

今回は「ADHD(注意欠陥多動障害)」についてリクエストをいただきましたので、まずはここでしめくくりとして「まとめ」ます♪

「一番病」や「断れない病」は、発達障害を持っている人は特にトラブルになりやすい課題です。我が家の次男の様子などを見てみますと、重症度はともかく、両方を持ち合わせてますので、中学に上がるこの時期、家庭では親、学校では先生と協働で見守っていかなければいけません。親だけが抱えるにはには大きすぎ、先生に任せっぱなしでは問題はさらに大きくなります。

友人とのやり取りを見ていても、うちの次男の場合ですが、うちの次男は「レディ・ガガ」の大ファンでして学校でも有名みたいです(汗)。
で、次男のクラスでも次男の影響でガガを聞き出した子も多いみたいです。
そしたら「一番病」が発生します(汗)。

誰かが次男の知らないガガの情報を知っていたり、グッズを持っていたりすると、それ以上のガガに関するものを欲しがります。
以前は家でガガのPV(プロモーション・ビデオ)をネットで見せる事をためらってたおっさんですが、最近は宿題を終えていることと自主的に家の手伝いができたときだけ、ほぼPV解禁にしてます。なぜかというと「PVは見たらだめ!」と制限しても勝手に見てしまうからです。

制限をかけすぎると、「友達は新曲のPVを見たのに僕はみてない!」と、怒りの矛先を友人ではなく長男に向けたりするので、ここが問題でして、この小さな課題を放置すると、この先、家庭内暴力に発展する可能性もでてきます。
外で弱い分、家で一番であり続けるための強さを保持するためです。

最近は「特別に見ていい時間」を僕が作ってます。もちろん「特別な時間」以外に勝手にPCに触ったら、その分減点でその日のPVの閲覧は禁止です。
これも中学に上がって「特別な時間」は通用しなくなる日もくるのですが、親がそのことに「制限をかけていた」事実は、本人の中に残ります。
「特別な時間」は決して無駄なことではありません。

うちの子ではないのですが、ADHDのR君は中学一年生の時、昼食の売店の順番から争いが起こり、3年生のやんちゃな生徒さんと喧嘩をしてしまいました。
それを本人の周囲の生徒さんが見ていて、「R君はうちの学校では一番強いよね!ケンカ番長だよね!」と持ち上げてしまいました。

こうなったらR君は自分が一番であるためにケンカをし続けなければなりません。
従来の「断れない病」と合わさって、頼まれたらケンカをする。またケンカをする。
結局警察にもお世話になることもありました。
この様に社会的に反抗していくADHDの子を、「反社会的・犯行挑戦形」と言います。

女子の場合であれば、中学になってたまたま友達と隠れて化粧をして、それが自分が思ったよりも可愛くて、周囲からの、「○○ちゃんって化粧したら、この学校で一番かわいいよね!アイドルみたいだよね!」で、○○ちゃんは化粧せずにいられなくなってしまいます。
常に自分がこの学校で一番「かわいい子」であるためです。
そのことで風紀が乱れていき、性逸脱をしていく少女たちもいてます。

親はあっという間に自分たちの子を見失ってしまった失望感にさいなまれます。
どの親御さんもお子さんの不良化していく姿を、「あっという間に・・・」と表現されます。

じゃ、どうやってそのような事から子供たちを救っていくのか・・・
ケンカばっかりしてるR君は、学校では「一番のケンカ番長」といいました。
家でも彼は「一番強い」存在だと言ってやればいいのです。
学校と家での彼への視線に急激な差が生じることはよくありません。
家でも「一番強い」という表現を用いて、「あなたは一番強い人だから弱い人をあなたの手で助けられるはず。あなたの一番強い力を貸してあげて。」とボランティアに誘ったり、家の力仕事を任せるだけでいいのです。

「家」で居場所があることを確認出来るだけで、その課題よりさらにひどい課題は避けることができます。

女の子で、隠れ化粧の現場を見つけてしまったら、「お母さんがもっとかわいく化粧する方法を教えてあげるよ」と、止めるのではなく、一緒に派手な化粧を楽しんでみるのも、とってもいいことです。
これは学校云々ではなく、彼らが大人になった時、ADHDの見せる特性は年齢と共に沈下していくので、「あのとき自分は無茶苦茶してたけどお母さんはわかってくれたよな。」と思えることこそが大事なんだと思います。

せっかく「縁」あって自分の子どもに生まれてきてくれた子たちです。
ADHDの悪い特性にばかり気がいって泣いてばかりの親の姿は、子どもに「私は生まれてきたらいけなかったのか?」と思わせてしまます。

僕自身は「弱くても負けない親でありたい」と思うのですが、実際は色んなことに負けてばかりです(汗)。でもすぐに立ち上がらなければ、次の課題は目の前です(汗)。

親もこうやって子どもに育てられていくんだろうと思いますわ(汗)。
 
 

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